読者12,000人・月5万円——一度は稼げていたメルマガが、なぜ終わったのか

メルマガ時代

理由は、意外なほどシンプルでした。

これは、20年以上前の話です。

当時のメルマガは、今のSNSやYouTubeに近い存在だったのかもしれません。
登録してもらえれば、検索エンジンのアルゴリズムに左右されることなく、直接読者に届きます。
はがきやダイレクトメールよりも手軽に行える手段でした。

これなら、少ない料金で、大量の人に届けられる。そう感じました。

まだオプトイン方式(事前同意)がなくてもメールを送れた時代でした。
まぁすでに迷惑メールに関しては問題になっていた時代です。

副業や個人で稼ぐという概念がまだ珍しかった時代に、メルマガは数少ない個人メディアの選択肢でした。
Amebaブログや、SNSの先駆けであるミクシィが生まれた頃。
そんな時代に個人が情報を発信できる手段として、メルマガはほぼ唯一の選択肢に近い存在でした。

その珍しさもあって、登録してもらいやすい雰囲気があったと思います。
そしてこの時代、きちんと続ければ稼げました。
情報起業家と呼ばれる人たちが次々と生まれていた、そんな時代でもありました。

難しいことは何もない。書いて、送るだけ。
その手軽さと時代の追い風に引き寄せられて、始めることにしました。

月5万円が入ってくる感覚

「これは本気で稼げる」と思っていました。

読者を集めるために転機になったのが、当時流行し始めていた「無料レポートスタンド」という方法でした。
無料で読めるPDFレポートを自分で作成し、専用の配布サービスに登録します。
興味を持った人がダウンロードする際にメルマガへ登録してもらう、という仕組みです。

レポートを作るのは大変でした。
情報を集めたり、他の人たちのレポートを参考にしながら作っていました。

一つのレポートで、複数のメルマガに登録される仕組みもあり、自分のレポートがダウンロードされなくてもメルマガ読者は集まっていました。

何を書くか、どう読ませるか。
今のようにAIで文章を補助してもらえる時代ではありません。
全部自分で情報を集め、自分で考えて、書いて、仕上げるという形でした。

それでも、完成して配布を始めると読者が集まってきます。
その手応えはうれしかったことを覚えています。
もちろん、せっかく作ったのに、自分では出来がいいと思っても、なかなか読まれないレポートもありました。

しかし、地道に続けた結果、気づけば7,000人、やがて12,000人近くになっていました。

5,000人規模になると、広告を掲載してほしいという依頼も入るようになりました。
ヘッダー広告が1枠5,000円、号外メールが1回10,000円。
数ヶ月の間、月5万円ほどの収入が続いていました。

週2回の更新が、首を絞めていた

問題は、コンテンツでした。

週2回という頻度は、始めた当初は「それくらいならできる」と思っていました。
でも実際に続けていくと、書くことに追い詰められていきます。
月に8本、年間で100本近くのネタが必要になる計算です。

しかも、本業がある。日中は仕事をして、平日の夜はメルマガの文章を書く。
それでも一晩では書き終わらないことも多く、次の配信日までかけて何とか仕上げるときもありました。
土日は無料レポートの作成に充てていたため、メルマガのコンテンツは、どうしても平日の夜にしか作れませんでした。
しかも、慣れてくるどころか、だんだんと気持ちだけが消耗していきました。

その時のモチベーションは広告収入だけでした。

書くことが思いつかない日でも、更新日は来ます。
読者が離れるのが怖くて、とにかく何かを送り続けました。
薄いネタを無理やり引き伸ばしたり、以前書いた内容を言い換えたり、他の人たちの内容を参考にしたり。
「今回はちょっと手を抜いてしまった」と自分でもわかりながら、送信予約をセットする日が増えていきました。

読者はそれを敏感に感じ取ります。
メルマガの内容がおもしろくない、ためになる情報ではない、結局は、メールを読む理由がなくなれば、開かなくなります。
そうすると、メルマガの開封率が少しずつ、でも確実に落ちていきました。

開封率1%以下という現実

広告主はシビアです。

最初の頃は、開封率は25%前後ありました。
メルマガの平均開封率が20%前後とされている中で、少し上回る水準です。
クリック率も平均の3%台をキープしていた時期があり、広告主にとって価値のある数字でした。
だからこそ、ヘッダー広告や号外メールの依頼が来ていたのだと思います。

それが、少しずつ確実に落ちていきました。

広告収入を得るようになってから8ヶ月ほど経った時には、開封率は1%を切りました。
平均の20分の1以下です。
12,000人に送っても、開く人が120人以下という状態。

その数字を改めて確認したときには、正直しばらく画面を見つめていました。
計測ミスかとも思いましたが、毎月見ていて、下がっていることは明らかでした。

確かな数字でした。読者はいる。リストもある。

でもほとんど誰にも読まれていない。
そんなメルマガになってしまっていました。

開封率が低いメルマガに広告を出す理由はありません。
リピートの依頼が来なくなるのに、時間はかかりませんでした。
それでも新規の問い合わせはちらほら続きました。

ただ、罪悪感はありました。
開封率1%以下なのに宣伝効果なんてありません。

それでも申し込みがなくなるまでしばらくは続けました。
新規の読者を集めながら、コンテンツも試行錯誤を続けました。

でも、結局は広告の応募がなくなり、13ヶ月目に、終了する決断をしました。

今だからわかること

当時は「ネタ切れ」が原因だと思っていました。
書くことがなくなったから終わった。
そう片付けていました。

でも20年以上経った今、振り返ると本質は別のところにあったと思っています。

読者に届けるものが、自分の中で明確になっていませんでした。
何のために書くのか、誰に届けたいのか、届けた先に何があるのか。
そこが最後までぼんやりしたままでした。

軸がなければ、コンテンツはただの消費物になります。
読まれても残らない。
残らなければ、読者が戻ってくる理由もありません。

読者を集める意欲もありました。
文章を書く意欲もありました。
でも「この人に、これを届けたい」という一本の軸が、ずっと見えなかった。

それに気づいたのは、メルマガを終えてからずいぶん時間が経ってからのことです。

メルマガ配信をやめたあと、今度はステップメールで商品を売ろうとしました。
その話は、次に書きます。

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